前編は以下のとおり
好きだった大学の先輩が・・・

その翌日、先輩の友達から「ねえねえ○○君。昨日ヒカルのワンピースどうだった?可愛かったでしょ?」 と聞かれ、
何のことかわからず問い返してみたら「え?ヒカル買ってたよ。デート用にって。あたし付き合わされたんだもん。」とのこと。
「いつもと同じ服でしたよ。」
「ああじゃあ恥ずかしかったんじゃない?そんなの殆ど着たことないみたいだし。『こんなスースーしたもん着れるかぁ!』って顔真っ赤で言ってて超ウケたし。」
「え?でも買ったんですよね?」
「○○君とのデート用にね。でも『いきなりこんなの着てったら引かれない?気合入りすぎと思われない?』って
何回もしつこく聞かれたから、多分そういう事なんじゃないかなぁ?」
俺は有頂天になって、ニヤニヤを隠し切れずにいると、先輩の友人は、「あいつ○○君みたいに熱い告白されたことないから戸惑ってるみたいよ?」と肘で突付きながら教えてくれた。
俺は急いで、次のデートの約束を申し入れた。
「次休みの予定が合う日があったら、遊びに行きませんか?」とメール。
「ていうか今から休み合わせようよ。どこ行くどこ行く?」と先輩。
もうすっかり秋も深まった季節だったけど、頭の中は桜が満開だった。
そんな時だった。大学で、俺の友人Aが話しかけてきた。
「お前最近ヒカル先輩と仲良いのな。」
「ま、まぁな。バンド一緒だし。」と誤魔化す。
俺が先輩を好きなのを知ってるのは、先輩と先輩の友人だけだった。
俺の態度から勘付いてる人もいただろうけど、公言していたわけではなかった。
Aは「付き合ってんの?」と聞かれ、俺は慌てて「いやいや。」と首を振った。
Aは安心したように笑い、「なんだ、じゃあもうヤッた?」と聞いてきた。
Aは元々ちゃらい奴で、悪い奴ではないけど、見た目もイケメンだけど軽そう。というか実際軽く、女関係の噂も絶えない奴だった。
だからいつもの軽口だと思い、「なんでだよ!」っと冗談めかして突っ込みをいれた。
でもAはきょとんとした顔で、
「そうなん?(友人)Bももうやってんのに。お前もお願いしてみれば?」
俺は何のことかわからず、というかわかってたけどわかりたくなくて、頭の中がトマトが潰れるみたいにグチャってなった感覚があった。
俺が呆然としてると、Aは「お前一番仲良いんだから余裕だって。いっとけいっとけ。」と笑いながら言った。
「え?いや、でも先輩。え?」と思考が停止したままの俺に対してAは俺の肩にポンと手を置き「騎乗位で腰振らせてみ。グラインドすげーぜ。フェラも激ウマだし。」となんのてらいもなく、無邪気そうにそう言った。
「……え?なに?お前らってそういう……関係?」と漸く声を振り絞った俺に対し、「いや。別に。ヤリ友ってだけだし。」と億劫そうに煙草を吹かしはじめた。
煙草をひとしきり吸うと、Aはニカっと笑い、「今度Bと3人でやるつもりだけどお前も来る?」と提案してきた。
俺は吐き気や悪寒に襲われてたけど、きっと何かの間違いだと思い、「あ、いや。今日バイトだから……」とその場を退散した。
その際Aは、「おい大丈夫か?」と心底心配そうにしばらく一緒に歩いてきた。
俺はそれを「大丈夫。大丈夫だから。」と繰り返して追っ払った。
その後、気がついたら家で突っ伏して寝ていた。本当に、道中の記憶はあんまり無い。バイトがあったが、無断欠勤した。動けなかったから。
気づくとメールが3通。一つはAからで、「さっきの話はここだけって事でよろしく。□□先輩とか△△先輩とかヒカルちゃんにガチじゃん?」
もう一つはヒカル先輩からで、「ちょっと調べてみたんだけど、○○ってカフェが良いらしいよ?明日のお昼って予定ある?どうかな?お姉さん奢っちゃうよ。」
最後は先輩の友人で、「次のデートは気合入れてワンピ着てくらしいよ。ちゃんと褒めてあげなよ。」
もう何がなんだかわからず、とにかくヒカル先輩にだけ、「わかりました。勿論OKです。」と返信をした。一睡も出来なかった。
最初のデートの時もそうだったけど、理由は間逆だった。 何も考えれず、ただ枕に顔を押し当てて、朝を待った。
その間、ヒカル先輩から「明日楽しみだね。あと明日新しい服着てくから、絶対笑わないでね。」とメールがきた。
一言「はい。」とだけ返信した。日が昇ると、やはり何も考えれず、それでものそのそと準備をして、待ち合わせ場所に向かった。
先輩のワンピースは、反則的なまでに可愛かった。先輩は照れくさそうに身体をモジモジさせ、ずっと落ち着きなくそわそわしていた。
俺の口からは、自動的に先輩を褒め称える言葉が出た。
先輩をそれを受けて、顔を真っ赤にしていた。
俺の様子は明らかにおかしかったと思うが、俺は普段から表情も少なく、感情も見え辛いキャラらしいので、最初は先輩も違和感に気づいてなかったんだと思う。
でも途中から、「大丈夫?具合悪いの?」と頻繁に聞かれ、その度に否定していた。デートを楽しんでないと思われるのが嫌で、必死で作り笑顔を浮かべ続けた。
先輩の楽しそうな笑顔や、心配そうな顔を見るたびに、胸が高鳴り、それと同時に、Aの言葉を思い出しては締め付けれれるように痛んだ。
この後に及んで何かの間違いだと思いたかった。
デートは日が暮れると同時に終わった。
別れ際、先輩は俺を呼び止め、「前に○○君があたしに言ってくれた事ってまだ有効?」と尋ねてきた。
一瞬何のことかわからずに立ち尽くしていると、「だから……その、告白してくれたじゃん?」とはにかみながら、上目遣いで眺めてきた。
Aの言葉が頭をよぎったが、それでも俺の首は自動的に縦に動いていた。
実際好きだったし、好きでいたかったから。
先輩は安心したように、ぱぁっと笑顔を咲かせて、「そっか。」と言うと、踵を返して足早に地下鉄構内へ去っていった。
それでも何度もこっちを振り返っては、ぶんぶんと手を振ってくれた。
その数十分後、「ちゃんと○○君の気持ちに応えられるよう、毎日一生懸命色々と考えてます。もうちょっとだけ時間を下さい。○○君との事、真剣に考えてます。」とメールが来た。
この短期間に起きた出来事を、上手く消化できずにいた俺は、ただとぼとぼと家路につくしか出来なかった。(次回へ続く)