僕も彼女も都内に通う二十歳の大学生です。
彼女を仮に「彩」とします。
彩と僕は中学・高校・大学と、ずっと同じ学校に通っており、
彼氏彼女の関係になったのは高校一年の夏。
彩のほうから告白をしてくれました。
彩は小柄で、黒髪が綺麗な女の子。
ジブリの映画に出てくるヒロインみたいな地味で質素な可愛さがあり、
出会った頃から僕の憧れとなっていました。
告白された時、過呼吸で失神したのはいい思い出。
二人で初体験を済ませたのは高3の冬。
お互いが大学受験を推薦で通過してすぐのことです。
初めての性行為はたどたどしく気恥ずかしいものでしたが、
盛りのついてしまった僕たちは、
それからも頻繁に肌を重ねるようになりました。
二人の日常を反転させるキッカケは些細なものでした。
高校卒業間近、二人とも性的な事柄に敏感になっており、
話のノリで、「AV鑑賞」を僕の部屋ですることになりました。
近所のレンタルショップに二人でいきましたが、
恥ずかしさに負け、AVコーナーには入れず…。
代替品に、とあるVシネを借りて帰りました。
ところが、このVシネの内容が屈折しており…
あるカップルが拉致され、彼氏の目の前で彼女が犯される
シーンの入った(むしろそれがメイン)、いわゆる「寝とられモノ」。
最初は嫌がっていた彼女が次第にあえぎ声を出し、
果てには彼氏の目の前でイッてしまう場面をみた時、
恥ずかしながら僕は完全に勃起をしていました。
それとなく彩の方をこっそり見ると、
彼女は完全に画面に釘付けとなっていました。
僕の視線に気づかない彩は、
自分の口から漏れる吐息を殺そうともせず…
ハァハァ…という音が僕の耳にずっと響いていました。
肩で息をしながら彩は「このビデオ凄いね…」と一言。
僕もこの倒錯の世界に完全に魅了されてしまっており、
二人ともおかしな精神状態になっていたのだと思います。
「ねぇ、わたしがキミの目の前で知らない男に抱かれたら…興奮する?」
彩が不意に呟やいた一言に、僕は画面を見ながら
首を縦に振っていました。
「彩のこういう姿…見てみたい」
僕の返事を聞くやいなや、僕を押し倒し、唇に吸い付いてくる彩。
その日はいつもより激しく二人で抱き合いました。
その後の展開はあっというまでした。
後日、インターネットで夫婦の交換や貸出を行っている
サイトを見つけ、二人で書き込み。
彩の打った文面は「彼氏の目の前で私を抱いて下さい」でした…
書き込みに対する返信はすぐに届きました。
多くの返信の中から顔写真や住所を見て、
最終的に「倉田」さんという、30台の男性を選び、
彩に返信を打たせました。
二人の願望を伝えると、倉田さんからは
「場所を用意するから、すぐにでもしよう」という返事が。
僕たちのようなカップルと付き合いを持ったことが数回ある、
とのことで非常に手慣れた感じでした。
翌週末、僕と彩は倉田さんと都内で待ち合わせをし、
倉田さんの車でホテル(ラブホではなく、少し高級な感じ)
へ向かいました。
倉田さんは決して顔立ちの整ったタイプではなく、
「普通の人」といった感じでしたが、
女性の扱いは僕とは比べ物にならない程上手く、
ホテルに着く頃には彩も少しリラックスが出来ているようでした。
倉田さんの取った部屋に入り、奥にある大きなベッドを目の当たりにすると、
これからそこで行われる行為を想像してしまい、
心臓が痛いぐらいに高鳴ったのを覚えています。
ベッドに三人で腰掛け、僕と彩は二人で見たDVDのこと、
その後のセックスがいつも以上に燃えたこと、
そして、自分達もそういう行為を行ってみたいことを、
包み隠さず話しました。
倉田さんは僕たちのことを見ると笑顔で、しかし冷たく
「二人とも真性のMだね。二人を興奮させてあげるから、
絶対に逆らっちゃだめだよ」 といい放ちます。
僕が彩を見ると、彩は無言で頷いていました。
途端に空気が代わり、倉田さんは彩を引き寄せ、キスをしました。
彩にとって、僕以外の男とキスをするのは初めてのことです。
しばらく唇を重ねた後、倉田さんが彩の口に舌を入れ始めます。
(次回へ続く)