投稿者Shyrock
愛と官能の美学
夏になってプール開きのニュースを耳にする度に、思い出してしまう出来事がある。とても恥ずかしくて話したくない出来事なんだけど、恥を忍んでお話します。
ある土曜日、僕は奈々子(当時24才)と某公営プールに出掛けることになった。彼女はこのシーズン購入した黒いビキニを僕に見せたいらしい。
ふたりはそれぞれの脱衣場で着替えてプールサイドに集合した。
さすがにキャンギャルをしていただけのことがあって、メリハリのある見事なプロポーションが人目を引く。それに加えて日焼けしていない白い肌に黒ビキニというコントラストがやけに艶かしく映っている。
自分の彼女を連れてプールに訪れたというのに、まるでよその彼女を連れて来たかのようにどこか落ち着かない。
数日前に夜を徹してめくるめく愛の時間を過ごした仲なのに、どうして太陽の下、ビキニとはいえ着衣の彼女に気恥ずかしさを感じるのだろうか。
僕はそんな奇妙な感覚に包まれながらプールサイドを歩いていた。するとプールサイドでたむろしていた若い数人の男達が、一斉に奈々子に熱い視線を送って来た。
(・・・)
「奈々子、みんなこっちを見てるんだけど・・・」
「いいじゃないの。ちゃんと水着を着てるんだし」
「うん、まあね」
「いくら見られたって別に減るもんじゃないでしょ」
「そりゃ減りはしないけどさぁ」
「ん?Shy、もしかしてあなた妬いてるの?」
「な、何を言うんだよ!や、妬いてなんかいないよ」
「あら、そう。じゃあ、気にしないくてもいいじゃないの」
「・・・・・・」
確かに減るものではないのだが、自分の彼女がじろじろと見つめられるのはいい気がしなかった。かといって「見ないで」なんてことを言えるはずもないし。
僕は少しいらっとしたままプールサイドを少し歩き、比較的空いている場所を探し当てていた。ふたりはプールサイドに腰を下ろした。
そっと足から順に水慣れ用の水をかけていく。
ほてった身体がきゅっと引き締まる思いがする。
予想以上に水が冷たい。
「ひえ~!冷てえ~!」
「ねえ、Shy」
「ん?」
「先ほど嬉しかったよ」
「え?何が?」
「ヤキモチよ」
「ヤキモチなんか妬いてないって」
「ふ~ん、そうなの?自分の彼女がジロジロ見られても平気なんだ」
「平気ってことはないけど」
「あははは、ほら、やっぱりヤキモチじゃないの~!」
「仕方がない。まあ、そういうことにしておくよ」
「素直じゃないんだから~。じゃあ、泳ごうか?」
「よし!」
ふたりは一旦肩まで水中に浸けた後、ゆっくりと泳ぎ始めた。
しかし休日と言うこともあって人が多くまっすぐに泳ぐことが難しい。よその人にぶつかりそうになって立ち止まってしまう事もあった。
ちゃんと泳ごうとしたのは最初の5分間ぐらいのもので、ふたりはまもなくじゃれ合い始めた。(次回へ続く)