投稿者Shyrock様
愛と官能の美学
しずかとは海辺のホテルで年を越すことに決めていた。
昔から、年が明けるとき、港で停泊している船、沖を行き交う船が、一斉に汽笛を鳴らす習慣がある。それが聞きたくて港に近いホテルを選んだのだった。
午後11時をまわったころには、ふたりはベッドの中にいた。年越しの瞬間は彼女が僕の上で身体をくねらせていたこと以外は、はっきりと憶えていない。
くんずほぐれつの一戦がひとまず終わったあと、その余韻に浸るかのようにぼんやりと天井を眺めてまどろんでいたら、どこからともなく、若い女のすすり泣くような声が聞こえて来たではないか。
ここは一応名の通ったシティーホテルだし、構造的にもちゃんと造ってあるはず。壁だって張りぼてのぺらんぺらんってなわけはないだろう。
しかし、それでも声ははっきりと聞こえてくる。
「あああああ~~~あああああ~~~ん・・・」
甘く切ない声?いやいや、もっとすごい。
感きわまって漏らすあの時の声に違いない。
隣だろうか・・・?それとも上の部屋? よく分からないけど、耳を澄ましていると、上から聞こえてくるような気がする。
「?」
「!?」
しずかと僕は顔を見合わせてにやりと笑った。
しずかがぽつりとつぶやいた。
「・・・ってことはぁ私たちの声も聞こえてるってことよね?」
「そういうことになるね」
「やだあ~~~」
「仕方ないじゃないか。年越しにホテルで過ごすカップルもきっと多いだろうし、夢中になってしまってイキ声をあげたとしても咎められないよ」
「そりゃあ、そうだけど・・・」
「それに人のこと言えないし」
「え?」
「しずかだってかなり大きな声出してたし」
「え~~~!?そんなあ~私出してないもん~」
そんなふたりの会話を遮るように、またもや女性の艶やかなアノ声が聞こえてきた。
「ああっ!ああっ!あ~~~ん、あんあん~、あんあん~、あ~~~~っ!」
でもさすがに会話の内容までは分からない。
とにかく聞こえてくるのはアノ時の声だけなのだ。
それにしても派手で実にけたたましい。
いくら夢中になって仕方がないとは言っても声がでか過ぎる。
しずかも僕も上の声が気になって眠れそうもない。本来なら宵の口から濃いめの2回戦をこなしているので、ふたりとも疲れ果てて深い眠りに落ちていてもおかしくない。
眠れないとついしずかの身体に手が伸びてしまう。
しずかもまたトランクスの上から指を忍ばせてくる。
おとなしくなっていたものが、またもやむくむくと頭をもたげてくる。
しずかの胸元をまさぐっていた指がゆっくりと下へ降りていく。
先程濡らしてしまったためせっかく穿き替えたのに、またもやパンティが湿ってしまったため、しずかは僕に「また濡れたじゃないのぉ」と不満をもらす。
焦らすことはしないで直ぐにクロッチの横合いから指を滑らせ亀裂に指を挿し込んだ。しずかの亀裂からは潤沢な蜜が溢れ出している。
上階から聞こえてくる悩ましい声にすっかり激しい昂ぶりをみせていた。
同様に僕の竿もすっかり硬くなっていた。
ふたりは激しくもつれ合った。
先程の2回戦よりも荒々しく求め合った。
気持ちの昂ぶった僕は思わずしずかのクリトリスを激しく吸ってしまった。
「ああん、Shy~、ちょっ、ちょっと強すぎるよ~~~」
しかしお構いなしに皮も剥きあげてさらに舌で責めたてた。
「ひぃ~~~~!あぁん!そんなぁ~~~気持ち良過ぎるぅ~~~~~!!」
「しずか、声出過ぎじゃない?」
「い、いいの~~~上に負けたくないもん~~~~~!!」
(上のカップルと張り合ってどうするん・・・)
しずかの奇妙な競争意識に意表を突かれながらも、僕は激しく腰を動かしていた。
眠い・・・
結局、元旦の日の出まで励んでしまい完全に寝不足だ。
わずか1時間ほど仮眠したあと、僕たちはエネルギーの補給に向かった。
ホテルの朝食はバイキングだった。
すでに8時30分を過ぎているのに意外にも満員だ。しかもカップルだらけ。
みんな励みすぎたのかも知れない。
昨夜の声の主もこの中にきっと混じっているはずだ。
僕たちはそれとなく周囲を見渡し、思わず微笑んでしまった。
彼らもまた僕たちのことを話題にして朝食を楽しんでいるかも知れない。
皆さん、カップルでホテルに泊まったときは(ラブホは例外)あの声には十分注意をしましょうね。