大学4年の頃の話。
当時所属してたサークルに、3年次編入生の女の子が入ってきた。
蛯原友里をちょっと幼くした感じの顔立ちだったから、名前はユリってことにしとく。
身長は165cm前後ってとこで、すごく細くて本当にモデルのよう。髪はダークブラウンのストレートで、長さは肩にかかるくらい。
これだけルックスに恵まれていながら、すごく人懐っこい性格で、すぐにサークルの人気者に。
かわいい子がこぞって入るようなサークルじゃなかったから、男どもなんか大騒ぎですよ。
俺は当時就活中だったけど、ユリみたいなきれいな子を引き留めとくと、来年以降の新入生の勧誘に強いってことはわかってたから、何人かで遊んだり呑みに行ったりしてた。
早いとこサークルに慣れてもらうために。
いやそりゃ個人的にも仲良くなりたいってのはあったけど、あわよくばってのはなかった。彼氏いたし。うちの大学の男ではなかったけど。
そんなこんなでサークルにも馴染んできた頃、練習後にユリとしゃべってたときのこと。
ユ「藤井さん(俺)、ちょっと相談したいことがあるんですけど、空いてる日ありませんか?」
俺「あーじゃあ○日は?講義終わってからメシでも食べに行く?」
ユ「いいですよー!楽しみにしてますねー!」
俺「あ、ちなみにどういう相談?他に誰か誘った方がいい?4女とか誘う?」
ユ「や!藤井さんくらいにしか話せないことなので!」
俺「ふーん。深刻なことじゃないといいなー」
ユ「深刻ってゆーか…えと、その…」
ちらちらと周りを気にするユリ。サークルの他のメンバーには極力聞かれたくない内容らしい。
俺「なに?なんか嫌なことでもあった?」
ユ「あの…実は、気になる人ができちゃって…///」
俺「え!うちのサークルで!?だれだれ?」
ユ「しー!藤井さん声おっきいから!」
俺「あ、ごめん。あれ?でもユリちゃん彼氏いるんでしょ?」
ユ「うー…その辺も含めて、後日ちゃんとお話しします…」
ちょっとつついたところによると、ちょいちょい何人かで遊んでるうちに、気が付いたらもー気になって仕方がなくなっちゃったのだそう。
ちょいちょい遊んでるメンバーって、あれ?俺入ってねぇ?とかちょっと期待したのは内緒。
で、当日。サークルでよく使う店へ。知ってる顔はいなかったし、なにしろ空いてたし。最初はフツーにメシ食いながら、あーだこーだくだらない話を。
あらかた食い終わったとこで、おずおずと切り出すユリ嬢。
ユ「で、あの…お話ししたいことなんですけど…」
俺「あ、気になる人がうんぬんって話ね。早速だけど誰?」
ユ「藤井さん…わからないですか?わたし、結構わかりやすかったと思うんですけど…」
俺「いやごめん、ホントにわかんねぇ」
わりと他人のことには目ざとい方だと思ってたけど、今回は全く心当たりなし。うちのサークルだってことは確かだから、候補としてはそんなに多くないんだけど、ピンとこない。
あ、これはやっぱり俺フラg(ry
ユ「えと…伊藤さんなんです…///」
伊藤ってのは、俺がサークル内で最も仲の良い男。4年、伊藤淳史似。チビノリダー。
いやまぁ考えてみりゃ特によく遊んでたのは俺か伊藤かって感じだったから、意外でも何でもない、むしろ妥当な線なんだけど、聞いてた好みのタイプとはかけ離れてたから驚いた。
すげーいいやつなんだけどね。友達止まりなタイプ。でも超いいやつ。
意外!って言ったら、ユリもそう思うらしい。好みとは違うタイプだってことは自覚してるのね。ここからしばらく伊藤賛辞。ちょっとでも期待した自分が恥ずい。
目の前の女子はそんなこと知る由もなく、恋する乙女は直走る。誰にも言ってなかったみたいで、俺に言ったことでダムが決壊したんだろうな。
その濁流の勢いはとどまる事を知らず、なんか今から告るとか言っちゃってんの。え、今から?や、そもそもキミ彼氏は?
ユ「別れてきました」
恐るべし、恋する乙女。
いつのまにかケータイを取り出し臨戦態勢。本気で今から告るらしい。すげーなこの行動力。つーか誰かの前で思いを告げることに抵抗はないんですかそうですか。
ユ「も、もしもし?伊藤さんですか?あの、今大丈夫ですか?」
すげー残酷な話になるけど、俺はユリの思いが届かないことはなんとなくわかってた。伊藤は当時フリーだったけど、前の彼女のことを引きずってた。
もしかしたら?ってこともあるから、告白を止めることはしなかったけど。前の彼氏ともそれなりに長かったのに、すぱっと別れちゃうような状態なんだぜ?
今更無理っぽいからやめろって言ったって聞かないだろう。
ユ「そうですか…わかりました。はい、それじゃ…」
目の前で誰かの告白を見るって経験も初めてなら、目の前でフラれるのを見るのも初めて。
こりゃツラいな。部外者の俺がツラいんだから、本人はもっとしんどいだろう。
とか思ってたら、泣きはじめるユリ。おぉこりゃ周りから見たら完全に俺ヒールだな。知り合いに遭遇して面倒なことになる前に、めそめそするユリを引っ張って店を出る。
とりあえず近くのちっちゃい公園のベンチに移動。缶コーヒー買ってきて、泣きじゃくるユリをあやす。
何喋ったかは覚えてないけど、ずっと頭なでてたのは覚えてる。めんどくせーなーとは思わなかったけど、これからみんなで遊べなくなるなぁとは思った。
しばらくすると泣き止んで、たまに笑ったりもするユリ。
時刻は23時近いし、そろそろ帰ろうかーって立ち上がる。
俺は一人暮らしだったけど、訳あって大学から電車で1時間くらいの土地に住んでたから。そしたらユリさんてば、上目遣いでひとこと。
ユ「今日…ひとりでいたくないです…」
こうなってくると優しさのみが身上の先輩も、さすがにいろいろ期待してしまいます。
それを見透かしてかビッチだと思われたくなかったのか、「や!何もしないですから!」とかのたまう。それは本来俺のセリフだろう。
ちなみにユリは大学から徒歩圏内で一人暮らし。一応ちょっと悩むフリもしつつ、そうだよなーひとりじゃつらいよなーとかってお持ち帰られ決定。
ちなみにユリ宅に行くのは二度目。前回は何人かで遊びに行ったんだけど。
よくある1DKの部屋で、ビール飲んだりテレビ見たり。ちなみにユリは飲めない。
おそらくさっきまで全力でガン泣きしてたせいで、しばらくすると眠くなったご様子のユリ。
わたしシャワー浴びてきますねー。藤井さん先寝ちゃってていいですよー。って。シャワーの音を聞きながら、いや寝られるわけねーべって。健康な男子学生だもの。
出てきたユリはパジャマ姿。これは萌えた。
ソファで横になってた俺を見て、「わたしソファで寝るからベッド使ってくださいー」って。
「いいよー家主なんだからベッド使いなー」とか押し問答の末、結局ふたりでベッドへ。
いつもなら早速いただきまーす!ってなるとこだけど、親友に告白してフラれたての後輩女子をいただいてしまっていいものかと悩む。
かわいいし髪さらさらだしいいにおいだし、理性が吹っ飛ぶ条件は揃ってたものの、サークル内での面倒ごとは避けたいなぁってのがあった。
というわけで、ベッドに入ってからも懲りずにいろんな話をしてた。
手つないだりくっついたりってのはなかったけど、例によって頭はなでてた。たまにぽんぽん。
空気が変わったのは、明け方の新聞配達のバイクの音が聞こえてきた頃。我慢してたのか、ぶり返したのか、再びめそめそするユリを後ろからハグ。
しばらくそうしてると、
ユ「藤井さん…約束破ってもいいですか?」
『約束=何もしない』を光の速さで理解。
同意の下ならば無問題っつーことで、こっち向かせてキス。(次回へ続く)